前九年の役を扱った小説「炎立つ」を読んだ感想

WS000000

学生時代全く歴史の勉強をせず、ほとんど歴史のことを知らないので、子供が生まれたのを期に「これではいけない」と一念発起し、中公文庫の「日本の歴史」を1巻から読み始めました。

しかし全く基本的なことも知らないので、内容がよく頭に入って来ず、歴史小説なら印象に残りやすいだろうと考えて、「日本の歴史」を1巻読むごとに、該当する時代の歴史小説を読むことにしました。

黒岩重吾の「聖徳太子」から始まって、「鬼道の女王卑弥呼」までさかのぼり、黒岩重吾や永井路子、杉本苑子などを中心に30タイトル以上の小説を読みながら、3年もかけて、やっと武士の登場までこぎ着けました。

読む時間は、そんなに長くもない通勤時間だけとは言っても、まさかこんなに時間がかかるとは自分でも思いませんでした。

だいたい、歴史=武士みたいなイメージしかなかったので、武士の登場までに、こんなに長い歴史があったことすら、全くイメージしていませんでした。

しかしここから、歴史小説の数も加速的に増え、更に進行が遅れることが予測されます(笑)

この調子だと、自分が死ぬまでに現代までたどり着けるのか怪しいです。
これからは、同じ人物や出来事を扱った小説は、代表的なものをを選んで読んでいくなりしなければなりません。

「前九年の役」は、歴史の主要な流れからは、やや離れた出来事なので、「炎立つ」は、読もうかどうしようかかなり迷いました。

しかし、以前に読んだ作者の高橋克彦の「火怨 北の燿星アテルイ」がめちゃくちゃ面白かった記憶があるので、やはり読んでみることにしました。

現在、前九年の役のパートである1巻~3巻まで読み終わりましたが、正直、読んで良かったと思っています。
というか、読もうか迷っていたなんて危なかったなあという感じです。

とにかく面白いです。
面白いのは読む前から分かっていたのですが、読んだらやっぱり面白かったという感じですね。

高橋克彦の歴史小説は奈良時代を扱った「風の陣」シリーズを最初に読んだのですが、そのときは面白かったものの、史実に合わせて荒唐無稽な活劇を無理矢理はめ込んだという感じでした。
歴史を記憶に残すという観点からは、読んでもあまり意味がないなと思い、2巻まででやめてしまいました。

「火怨」は、「炎立つ」と同じ理由で読むかどうか迷ったのですが、他に蝦夷を扱った作品がなかったことと、評価が異様に高いことから読んでみました。
「風の陣」を読んだときのような無理矢理感がなく、すんなり入り込んで、あっという間に読み終わりました。

坂上田村麻呂とアテルイら蝦夷との戦いは、史実として分かっていることは大ざっぱな概要くらいだし、そんなに複雑な話ではないので、作者が想像で好き勝手に細部を作っても、事実との相違を考えたりする必要もなく、「そんなこともあったのかもしれないな」と思いながら、気楽に物語に没入できたことが大きかったかもしれません。

それでも、やはりちょっと出来過ぎ感が目立つハリウッド的なスペクタクル巨編という感じではありました。

ですが、「炎立つ」は、同じようなテイストながら、「火怨」に比べてリアル感が増しているような気がしました。

気のせいかもしれませんが、「火怨」の登場人物に比べて人物描写や心理描写に深みがあるような気がするんですよね。
主人公の藤原経清のキャラが大きいのかもしれません。

実際の藤原経清は日和見のフラフラしていたやつだったかも知れませんが、源頼義についたり安倍頼時についたりする経緯も不自然ではなく、頑固な正直者ゆえの迷いみたいな感じで書かれていました。

この作品はNHK大河ドラマの原作になっているので、配役を見て、頭の中でそのまま想像しながら読みました。
多分実際に映像を見たらがっかりする可能性の方が高いのでしょうが、ドラマを見る前に役者を思い浮かべながら読むのは、漠然と想像しながら読むより楽しいです。

まだドラマは見ていませんが、藤原経清は渡辺謙のイメージにピッタリ合っていますね。
源義家も、若い頃の佐藤浩市のイメージに合っています。
村田雄浩の安倍貞任は少し意外ですが、ビジュアル的には似合っています。

これからDVD借りて観ます(観ずにはいられません)が、めちゃくちゃ楽しみです。

大河ドラマ「炎立つ」(第一部)を観た感想

「炎立つ」四巻を読んだ感想